クマ2025 #03 – Alert

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人を覚えたクマ ― 変わる攻撃性の正体

2025年。
クマの行動に、これまでとは違う“質の変化”が現れている。

出没や威嚇ではなく、「人を襲い、食べた」という報告が相次いでいる。
これは一過性の異常ではなく、
人間社会との接点が広がる中で起きている学習行動の段階
と考えられる。


従来のツキノワグマ行動との違い

分類従来型(防衛的)新型(学習・捕食的)
行動目的子を守る/驚いて攻撃食料・興味・執着
攻撃の持続性一瞬で離脱長く執拗に追う
発生場所山中・藪・出会い頭住宅地・人里・施設周辺

かつてのクマは臆病で、人を避ける傾向が強かった。
しかし近年、「人の存在を恐れない」個体が確認されている。

それは防衛行動ではなく、目的をもった接近行動
つまり、「防衛」から「捕食」への質的転換が起きつつある。


学習性攻撃 ― “人を覚えたクマ”

専門的には「学習性攻撃(learned predation)」と呼ばれる。
クマが次のような経験を経て、人への接近・襲撃を強化していく過程だ。

  1. 偶発的に人を襲撃し、血や肉の匂いを知る
  2. 恐怖よりも興味・報酬の記憶が残る
  3. 「人=餌が得られる存在」として認識
  4. 再び人に接近し、行動を強化する

学習個体が駆除されずに残ると、行動パターンが地域に拡散する危険がある。
また、警戒心の薄いメスがこの特性を持てば、子にも同様の傾向が引き継がれる可能性がある。


実例:変化を示す3つの現場

  • 岩手県北上市・瀬美温泉(10月16日)
     露天風呂の清掃中、男性従業員がクマに襲われ死亡。
     駆除個体の胃から人の遺体片が見つかり、DNA一致。
     → FNNプライムオンライン
  • 岩手県北上市・和賀町(10月19日〜26日)
     周辺で相次いで3人がクマに襲われ死亡。
     いずれも住宅地や道路沿いなど、人里での襲撃。
    河北新報オンライン
  • 秋田県秋田市雄和萱ケ沢(10月28日)
     田んぼ脇の側溝で女性が遺体で発見。
     現場近くにクマの足跡が残され、襲撃の可能性が高い。
    TBS NEWS DIG

これらは共通して、

  • 人里や住宅地など人間活動圏で発生
  • 1回限りでなく連続・反復的に出没
  • 一部は遺体損壊やDNA一致など「捕食的痕跡」あり

という点で、従来の防衛的襲撃とは明確に異なるパターンを示している。


対策の考え方

段階状況有効な対応
通常出没餌を求めて山を降りる行動時間の調整・音を出す
警戒減退人里への慣れが進む電気柵・臭気対策・追い払い強化
学習・捕食段階人を襲い再出没個体特定と速やかな駆除

“クマ全体を敵視する”のではなく、特定個体を的確に排除する管理が求められる。
それにより、他個体への学習拡散を防ぐことができる。


結論:クマ問題は「量」から「質」へ

2025年のクマ出没は、単なる“数の増加”ではなく、“行動の変質”が根底にある。
それは自然の異常ではなく、人間の生活圏の拡大と、距離の喪失がもたらした結果でもある。

いま必要なのは、恐怖ではなく、冷静な線引きだ。

クマ全体を敵にせず、
人を覚えたクマを見極めること。

それが、共存を守るための現実的な一歩となりそうだ。


参考資料・出典

  • 環境省『クマ類の出没対応マニュアル(2021年)』
  • 日本ツキノワグマ研究所・米田一彦理事長 各種コメント(報道)
  • FNNプライムオンライン「岩手・瀬美温泉で従業員死亡」(2025.10.16)
  • 河北新報「岩手県北上市でクマ襲撃3人死亡」(2025.10.25)
  • TBS NEWS DIG「秋田市雄和で女性死亡」(2025.10.28)

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