クマ2025 #05 – Study

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クマの危険を“前提として生きる”年になった

2025年のクマ被害を振り返ると、
一見すると「やはり被害が多かった年」という言葉でまとめられそうに見える。

出没は多く、
人身被害も各地で相次いだ。

だが、数字と経過を丁寧に見ていくと、
2025年はそれだけでは説明できない年だったことがわかる。


想定されていた「危険な年」

2025年が危険な年になることは、
実は2年以上前から見通されていた。

  • 2022年の木の実豊作
  • 2023年の出産増
  • 2025年に若グマが成獣化
  • 一部地域での凶作
  • 人里依存が進んだ個体の存在

これらが重なれば、
出没件数と人身被害が増えるのは、自然な帰結である。

実際、環境省の速報値でも、
2025年は出没・被害ともに高水準で推移した。

この点について、異論はない。


それでも、11月は「最悪」にならなかった

注目すべきは、11月の結果である。

俗に11月は、
「年間で最も被害が大きくなりやすい月」と言われてきた。

10月までの被害状況を見れば、
「11月はさらに死者が増えるのではないか」
そう感じた人も多かったはずだ。

しかし、結果として
11月の死者は1名にとどまった。

出没が減ったわけではない。
危険が消えたわけでもない。

それでも「最悪」には至らなかった。


クマが変わったのではない

この結果を、
「クマがおとなしくなった」と捉えるのは適切ではない。

2025年には、

  • 朝から昼にかけての被害が相次いだ
  • 人里や住宅地での襲撃が増えた
  • 防衛行動では説明しきれない事例も確認された

つまり、
クマの行動はむしろ厳しさを増していた

それでも致命的な事故が抑えられた背景には、
人の側の変化がある。


「出る前提」で行動するようになった

2025年は、各地で次のような行動が見られた。

  • 早い段階からの注意喚起
  • 「11月は危険」という知識の共有
  • 山だけでなく、人里・作業場・集落での警戒
  • 行動時間や場所を見直す判断

これは、
「クマが出たら対応する」という姿勢ではない。

クマが出る前提で、生活や行動を組み立てる
という姿勢への転換である。

その積み重ねが、
11月の被害を一定程度抑えた可能性は高い。


2025年は「前提が更新された年」

整理すると、こうなる。

  • クマ被害は多かった
  • 出没も危険度も高かった
  • それでも、最悪は回避された

2025年は、

クマが危険になった年
ではなく
クマの危険を、生活の前提として織り込んだ年

だったと考えたほうが、実態に近い。

「冬になればいなくなる」
「時間帯を避ければ大丈夫」

そうした、これまでの“曖昧な安心”が、
静かに更新された年でもある。


問題は、終わっていない

もちろん、
クマ問題が解決したわけではない。

  • 冬眠しない個体
  • 人里で学習したクマ
  • 翌年も同じ場所に戻る可能性

これらのリスクは、
2026年以降へ持ち越される。

2025年は、
解決の年ではない。

向き合い方が一段階変わった年
それが、この年の正確な位置づけだと思っている。


おわりに

恐怖を煽ることは、
解決にはつながらない。

だが、
「知らなかったこと」に戻ることもできない。

クマの危険を、
日常の前提として理解する。

2025年は、
その地点に、社会が一歩進んだ年だった。

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