雪の立山・雄山へ ― 冬の白と新しいスタート

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登山日:2025年11月23日

室堂に降り立った瞬間、前回歩いた秋の立山とはまるで別の景色が広がっていた。
あたり一面が白い。
視界の端まで続く雪の斜面に、思わず息をのんだ。
そしてその上に、濃い青の空がくっきりと重なる。

冬の立山は、白と青という二つの色で世界を作っている。
その単純さに、心が揺さぶられた。
天気は快晴。
「今日の立山は、きっと最高だ」
そんな予感が胸の奥に静かに広がった。

白い立山三山
浄土山方面から日が差す

雪山シーズンの始まり

今シーズン最初の雪山だ。
ゲイターを締め、12本爪アイゼンを装着する。
雪面にアイゼンの爪が「サクッ」と入る感覚が懐かしい。
一年ぶりの音。
身体の奥に眠っていた雪山の記憶が呼び起こされていく。

トレースはしっかりとついていた。
その上を淡々と歩きながら、ときどき立ち止まって浄土山の方を見る。
風で巻き上がる粉雪が、白い尾を引きながら空に流れていく。
その光景はまるで山が呼吸しているようで、
心が震えるほどかっこよかった。

雪舞う浄土山
山から湯気が出ているよう

この時間が、一ノ越までで一番印象に残った。
寒さも風も、すべてが雪山の舞台を整えてくれている。
「今年も冬が始まったな」
そんな実感とわくわくが、足を前へと押し出した。


核心の斜面へ

一ノ越まで来ると、風の強さが一段階増した。
ここからが本番だ。
斜面を見上げた瞬間、角度が変わるのがわかる。
室堂からの緩やかな道とは明らかに違う。
雪と岩が混ざるミックスの斜面。
簡単な登りではない、とすぐに理解する。

自然とピッケルを持ち替える。
手にした瞬間、身体の緊張が少しだけ増す。
もし滑落したらどうするか。
頭のなかで、滑落停止姿勢までの一連の動きを繰り返しイメージする。
雪にアイゼンを刺し、ピッケルを雪面に置き、身体を落とさないように登る。
風が強く、頬が刺されるように痛い。
フードを深くかぶり、風をしのぎながら一歩ずつ進む。

無言になる。
自分の呼吸の音だけが胸の奥で響く。
冬の斜面は、言葉よりも集中が支配する世界だ。


雪の山頂で誓う

社務所に到着した瞬間、心が軽くなった。
雪に半分埋もれた軒下。
強風にあおられながらも、そこに立てたことが嬉しかった。

そこから見える北アルプスは、白い線で縁どられたように冠雪していて、
夏とは違う迫力をまとっていた。
どの山も、その山らしい“冬の顔”を堂々と見せている。

上部に雪がつくアルプスは美しい
これからもっと雪がつくのだろう

息を整え、いよいよ峰本社へ向かう。
今日ここに来たのは、ただ冬の立山に登りたかったからではない。
新しいスタートを誓うために来た。
いま進もうとしている方向を胸に定め、
その決意をこの場所で確かめたかった。

雄山神社の前に立つと、自然に背筋が伸びた。
雪と風の音に包まれながら、
自分の中に生まれた静かな思いをそっと置いてきた。

雄山神社総本社
半分埋まる総本社

下山前の静けさ

再び社務所の軒下へ戻る。
サーモスのお湯でインスタントコーヒーを淹れ、パンをかじる。
一口飲んだ瞬間、
身体の内側があたたかさを取り戻していく。
「生き返る」という言葉がぴたりとはまる。

しかし、身体が止まれば外側はどんどん冷える。
風が軒下にも吹き込み、長くはいられない寒さだった。
リュックをおろしたタイミングでバラクラバを装着し、
顔全体を守る準備を整える。

少しだけ静けさを味わい、
また雪山の中へと戻っていった。


おわりに

この日の登山は、
翌日の芦峅中宮祈願殿、そして立山博物館で見た錫杖頭・鉄剣へとつながっていく。
白い立山で誓った新たな気持ちは、
その翌日に“信仰と歴史”という形で深まっていった。

この流れすべてが、自分の中で自然につながっていたように感じる。

雪の立山・雄山へ / ふみさんの立山(雄山)の活動データ | YAMAP / ヤマップ

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