「静寂の白」 雪山挑戦の記録

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「静寂の白」に惹かれて ― 雪山への第一歩

「雪山は面白いんですか?」

2022年10月23日。滋賀県のモンベルショップで、私はそんな質問を店員さんに投げかけた。それまで雪山には特に関心を持っていなかった私が、初めてその世界に魅了された瞬間だ。

「はい、面白いですよ。特に冬の山は、本当に素晴らしいです。」

そう答える店員さんの表情は実に楽しげだった。その声に背中を押されるように、さらに踏み込んで尋ねた。

「具体的にはどういうところが素晴らしいと感じるのですか?」

「夏とは全然違う景色が見られます。鳥もいないので、本当にしんと静かなんです。同じ山なのに、別世界のようですよ。」

その「しんとしている」という言葉に私はハッとした。これまで雪山の景色を想像したことはあっても、音のない世界の存在に気づいていなかったからだ。その瞬間、頭の中に静寂の雪山に立つ自分が浮かび、これまで感じたことのないワクワク感が湧き上がった。

その場で登山用の冬ウェアを購入し、残りの装備についてはじっくり考えながら揃えることにした。雪山という未知の世界に飛び込む準備が始まった。


装備を整える ― 初心者の試行錯誤

雪山登山は道具が重要だ。命を守るものだからこそ慎重にならざるを得ない。その分、コストもかかる。アイゼン一つとっても、どのレベルのものを選べばいいのか迷いがあった。

登山仲間と相談しながら、まずは10本爪のアイゼンとワカンを購入することに決めた。目指すのは里山からのステップアップだ。特に雪山経験が浅い中では、装備を揃えすぎず、柔軟に対応できる選択が重要だった。靴は革製の登山靴を流用することにし、高価な冬用登山靴は次のステップに取っておくことにした。

装備選びや計画の相談を仲間と共有することで、不安を軽減しながら準備を進めることができた。


三十三間山 ― 雪山デビュー

2022年12月19日。福井県若狭町にある三十三間山で、いよいよ雪山デビューを迎えた。山頂が白く染まる姿を遠くから眺めながら、これまでの準備を思い返す。

登山口には雪はなく、序盤は通常の登山と変わらない。中盤から徐々に雪が現れ、稜線に近づくと一面が真っ白に。積雪は10~40センチほどで、アイゼンとワカンの初使用にはちょうどいい条件だった。

アイゼンを装着し、雪上を歩く感覚は新鮮だった。足元がしっかり安定する感覚に安心感を覚える一方で、風が強く、雲が厚くなってくる様子に不安も感じた。そのため、山頂手前の広場で引き返すことにした。


武奈ヶ岳 ― 初日の出とピークの喜び

2023年1月1日、登山仲間と共に滋賀県の武奈ヶ岳へ向かった。目標は初日の出を見ることと、冬の武奈ヶ岳のピークを踏むこと。朝5時45分に葛川坊村から登り始めた。

途中、雪が深くなり始めた頃にアイゼンを装着。登るにつれて空が赤く染まり、御殿山手前で初日の出を迎えた。樹林帯から見た朝日は、夏山では味わえない特別な光景だった。

その後も仲間とおしゃべりを楽しみながら登り、無事ピークに到達。この瞬間の達成感と爽快感は、2023年の素晴らしいスタートを象徴していた。


荒島岳 ― 雪山登山の挑戦

1月15日には、登山仲間と福井県の荒島岳に挑戦した。国内有数の豪雪地帯であるこの山は、雪山初心者にとって大きな挑戦だった。

スタートからアイゼンを装着し、雪の斜面を慎重に進む。踏み抜きに苦労しながらも、シャクナゲ平で小休憩をとり、いよいよピークを目指す。荒島岳の山頂からは白山や別山、能郷白山などの絶景が広がり、達成感が全身を包み込んだ。


木曽駒ヶ岳 ― 雪山の集大成

3月19日、登山仲間と木曽駒ヶ岳に挑戦した。ロープウェイで千畳敷カールに到着すると、一面の雪景色に圧倒された。新雪が積もり、フカフカの雪の中を進む感覚は格別だった。

稜線に出ると、御嶽山や南アルプスの山々が見渡せた。頂上では北アルプスを眺めながらパンを食べ、冬山の醍醐味を味わった。また、ピッケルの使い方がいまいち分からず、きちんとした使い方を学ぶ必要性を感じた。


課題と次の挑戦

この冬、雪山に挑戦して感じた課題を以下にまとめる。

  1. 装備の強化
    足の冷え対策として、冬用登山靴が必要だと感じた。
  2. 技術の向上
    ピッケルの使い方や滑落防止技術、雪崩対策など、学ぶべきことが多い。
  3. 仲間との協力
    雪山登山では、安全面や計画面で信頼できる仲間がいることの重要性を強く感じた。

雪山は危険が伴うが、その分得られる喜びや達成感は大きい。この冬の経験を糧に、次のシーズンでも「静寂の白」を追い求めていきたい。


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