登山日:2022年10月16日
10月も半ばを迎え、アルプスの登山シーズンもそろそろ終わりに近づいていた。2022年、私がアルプスで最後に選んだ山は、常念岳と蝶ヶ岳だった。この二つの山を結ぶコースは、三股登山口から常念岳へ登り、蝶ヶ岳を経由して同じ登山口に戻る周回ルートだ。距離は約16キロで、稜線の景色が素晴らしいことから「パノラマ銀座」とも呼ばれる北アルプスを代表するルートの一部を含んでいる。
このルートを選んだのは、初めて上高地に訪れた時に見た常念岳の堂々たる姿が忘れられなかったからだ。2022年9月18日、上高地の河童橋から北東方向にそびえる山を見上げ、アプリで調べたところ、常念岳という名前が出てきた。その時は登山歴も浅く、この山について何も知らなかったが、いつか登ってみたいと思った。それから1カ月後、その「いつか」はすぐに現実となった。
登山のスタート ― 常念岳への急登
10月16日の早朝3時、三股登山口の第一駐車場に車を停めた。すでに8割方埋まっていたが、何とかスペースを確保できた。登山を開始したのは午前5時半、ヘッドライトを点けてのスタートだった。最初は樹林帯をひたすら登る急坂が続く。ここで早くも心が折れそうになったが、木々の間から蝶ヶ岳や稜線が見え始めると、少しずつ気分が持ち直してきた。



急登の中でも特にきつかったのは前常念岳の岩場だった。息を切らしながら這うように登り、やっとの思いで前常念岳に到達すると、目の前にさらに高くそびえる常念岳が現れる。それでも、山頂が視界に入ると不思議と足が軽くなるものだ。常念岳のピークに着いた時、稜線を越える風が頬を冷やし、疲労感を吹き飛ばしてくれた。


パノラマ銀座 ― 神秘的な景色
常念岳の山頂からは、槍ヶ岳や穂高連峰が間近に見えた。この日、空は快晴で、遠くには富士山も確認できた。さらに、驚いたことに、槍ヶ岳の上空にお月様が浮かんでいた。日中に見える月とアルプスのパノラマが織りなす景色は、まるで絵画のように幻想的だった。これがパノラマ銀座か、と心の底から納得した瞬間だった。

縦走の苦しさと喜び
常念岳でしばし景色を堪能した後、蝶ヶ岳に向けて稜線を歩き始めた。最初は下り基調で楽に感じたが、ところどころで登り返しがあり、予想以上に体力を奪われた。特に蝶槍付近では疲労がピークに達し、足を引きずるように進む状態だった。そんな時、不意にライチョウが姿を現した。まるで私を励ますように目の前を横切り、その愛らしい動きに疲れが吹き飛んだ。


蝶ヶ岳ヒュッテに着いたのは昼過ぎだった。ここではカレーライスとおでんを食べた。山小屋で温かい食事を取るのはこれが初めてだったが、その美味しさは格別だった。ヒュッテのそばにある蝶ヶ岳のピークまで足を伸ばし、ここでも再びライチョウに出会った。蝶ヶ岳近辺のライチョウたちは、私を歓迎してくれているかのようだった。



下山と達成感
三股への下山道は整備されており、急斜面には木の階段が多く設置されていた。膝に負担をかけすぎずに降りられたことはありがたかったが、それでも疲労は溜まっていた。途中、「ゴジラの木」と呼ばれる特徴的な形の木を見つけ、写真を撮りながら気分転換をした。三股登山口に戻ったのは午後4時頃。約10時間半の山行を終え、車に戻った時には達成感で胸がいっぱいだった。
この日の登山は、2022年のアルプス登山を締めくくるにふさわしいものだった。初めて見た常念岳に登り、その後パノラマ銀座を歩いて蝶ヶ岳まで縦走するという、このルートを選んで本当に良かったと思う。これ以上の締めくくりはなかったかもしれない。
常念岳から蝶ヶ岳[三股から周回] / ふみさんの前常念岳・常念岳・蝶ヶ岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ

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