登山日:2023年7月18日
笠ヶ岳は、僕にとって特別な山だった。昨年の槍ヶ岳、焼岳、そしてジャンダルムから望んだその雄大な姿が頭から離れず、「いつかは登りたい」という思いが日に日に強まっていた。そして、この日、その憧れを実現するチャンスが巡ってきた。
運命の朝
3時50分、市営新穂高第3駐車場に到着。平日の早朝、駐車場は7割ほど埋まっていた。連休明けで少し余裕があったのかもしれない。それでも「この時間に停められてラッキーだったね」と、すれ違う登山者に言われたことが印象的だった。4時20分、ヘッドライトを灯し、静かに歩き始めた。
あとでわかったことだが、どうやらこの日は、新穂高ロープウェイのメンテナンス運休により、通常時よりも利用者が少なかったようだ。
苦しみと希望の急登
笠新道の急登は、僕がこれまで経験した中でも指折りのきつさだった。樹林帯の中、足元だけを見つめながら必死に登る。汗が滴り、息が切れる。だけど、僕の頭には「杓子平まで行けば景色が開ける」という小さな希望があった。
その希望は正しかった。杓子平の標識に到着すると、突然目の前に広がる景色。そこには目指す笠ヶ岳の美しい山容があり、稜線の先には歩むべき道筋が一望できた。この瞬間、息苦しさが少し和らぎ、胸の奥からふつふつと喜びが湧いてきた。


ライチョウとの出会いと抜戸岳
杓子平を過ぎ、景色がひらけた先でライチョウに遭遇した。その可愛らしい姿に、自然の中にいることの幸せを感じたのを覚えている。登山をしていると、こうした小さな出会いが特別な記憶になる。
抜戸岳にも立ち寄り、山頂から眺めた黒部五郎岳、薬師岳、そして槍ヶ岳の美しさに息をのんだ。それぞれの山が持つ迫力と荘厳さが、僕の心を強く揺さぶった。ここから見える笠ヶ岳までの稜線もまた、素晴らしい眺めだった。



憧れの頂へ
笠ヶ岳山荘に到着し、ザックを置いて最後の一歩を進む。目の前に広がる空、足元の山並み、全てが僕を包み込んでくる。ピークに立った瞬間、体中の疲労が一気に押し寄せた。でも、それ以上に心が震えた。


目が潤んでいるのが分かった。涙にはいろんな種類があるけど、今回は疲労と感動が入り混じった、特別な涙だったと思う。ここまで来れたんだ。そう実感した瞬間だった。
山荘でのひととき
山荘に戻ると、ラーメンとコーラで一息ついた。冷えたコーラが喉を潤し、ラーメンの温かさが体に染み渡る。お土産にTシャツも購入した。小さなことかもしれないけれど、こうした時間も登山の醍醐味だと思う。


急ぎ足の下山
頂上での感動を胸に刻みつつ、暗くなる前に下山を急いだ。杓子平まで来ると、周囲はガスに覆われていた。「景色が見えたのは運が良かったな」と思いながら、足早に林道を進む。16時30分頃、無事に駐車場に戻った。


終わりに
この登山は僕にとって、特別な意味を持つものになった。憧れていた笠ヶ岳の頂に立ち、その稜線の美しさやライチョウとの出会い、達成感の中で流した涙。全てが、登山の素晴らしさを教えてくれた。
次の山はどこにしようか。また一つ、夢が広がった気がする。
笠新道ピストンで笠ヶ岳へ(日帰り) / ふみさんの笠ヶ岳・抜戸岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ

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