星空に憧れて、親子で挑んだ乗鞍岳

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登山日:2024年8月25日~26日

登山といえば、これまで僕の一人旅だった。家族の誰も山には興味を持たず、3000メートル級の山に挑戦するのは、僕の「個人の冒険」という位置づけだった。けれど、ある日中学生の娘がふと「満天の星空を見てみたい」と言った。その一言が、この特別な旅のきっかけになった。

本来は立山を予定していたが、予報は雨。僕は諦めかけたが、ふと見た乗鞍岳の天気予報が変わっていた。初日は夕方まで雨、でも翌日は晴れるかもしれない。それなら、星空が見られる可能性がある。急いで宿を手配し、「白雲荘」の個室が空いていることを確認した。こんなにスムーズに決まることがあるのかと思うほどの幸運で、計画は急転直下、乗鞍岳行きが決定した。

装備も整えた。初心者の娘のためにモンベルでハイキングシューズや暖かいシャツを購入。登山ウェアに身を包んだ娘の姿はなんだか誇らしく、初めての「一緒の山旅」に胸が高鳴った。

乗鞍岳は初心者にも優しい山として知られている。標高は3000メートルを超えるものの、畳平までのアクセスが良く、比較的短時間で山頂を目指せる。それでも山の厳しさは変わらない。天候や標高による気温差は侮れず、初心者が初めて挑戦する山としても注意が必要だ。僕は娘に、山の魅力だけでなく、その厳しさも教えたいと思った。

星空と山頂、娘との時間

初日、ほおのき平からバスで畳平に到着すると、小雨混じりの霧が山全体を覆っていた。幻想的な景色の中、僕たちは大黒岳や魔王岳を散策し、白雲荘にチェックイン。夕食後、山小屋でトランプをしてのんびり過ごす時間は、普段の登山では味わえない特別なひとときだった。

白雲荘の部屋は個室で、山小屋とは思えない快適さだった。僕たちは二人だけの時間をじっくりと楽しむことができた。娘は宿題をして、僕は山小屋にある漫画を読んだり、次の日の計画を練ったりして過ごした。こうした時間もまた、登山の一部だと感じた。

豪華な夕食
トランプのひととき
スキットル持参

夜になると、天気は奇跡の回復を見せた。空には満天の星。夏の大三角形や流れ星までくっきり見えた。その美しさに、娘も僕も言葉を失った。ただただ星空を見上げ、静かな夜を共有する時間がどれほど贅沢だったか。星空はどこで見ても美しいが、山の上で見る星々は格別だった。光が少ない分、星の輝きがより鮮明で、宇宙の広がりを直に感じることができる。思い出すだけで胸が温かくなる。

(iphone13なので限界はありますが)

翌朝4時20分、朝日を求めて大黒岳に向かったが、空は曇りがちで思うようには焼けなかった。それでも雲海は壮大で、自然の力強さを感じることができた。朝焼けが雲の隙間から顔を出す瞬間は短かったけれど、その一瞬の美しさは心に刻まれた。白雲荘での朝食を済ませた後、ついに剣ヶ峰3026mへの挑戦が始まった。

剣ヶ峰への道は緩やかなところもあれば急登もあり、娘にとっては決して楽な道ではなかった。それでも一歩一歩進む娘の姿には、何か新しい決意が感じられた。標高が上がるにつれて景色が変わり、雲海の上に立つ感覚が強まる。高度の影響で足が重くなる場面もあったが、休憩を取りながらゆっくり進んだ。

登山道では、すれ違う登山者に挨拶をしたり、登り優先のルールを守ったりする場面があった。そのたびに、僕が説明した山のルールを娘が自然と実践しているのを見て、とても嬉しかった。山のマナーは単なる作法ではなく、山を安全に楽しむための知恵だ。3000メートル級の山の景色だけでなく、娘自身の成長を見届けることができたことが、この旅の一番の収穫だったかもしれない。

山頂に立ったとき、娘は満面の笑みを浮かべていた。雲海が広がる絶景を眺めながら、僕は「これが登山の醍醐味だ」と改めて感じた。娘にとっても、この達成感は忘れられない思い出になっただろう。剣ヶ峰のピークで感じた風の冷たさ、そしてその先に広がる北アルプスの山並み。その景色は、写真には収まりきらないほどの広がりと美しさを持っていた。

強風の剣ヶ峰に立つ娘
自分の撮影時はガッスガス

登山の新しい楽しみ方

今回の登山は、僕にとっても新しい発見だった。これまでソロでスピード重視の登山をしてきたけれど、のんびりと過ごしながら星空や朝焼けをじっくり見る時間は格別だった。特に、娘と共有した時間が僕の心に深く刻まれた。自然の壮大さだけでなく、人と共有することで生まれる感動が、山にはあると気づかされた。

山は、ただ挑戦する場所ではなく、大切な人と過ごす場所にもなる。星空を見上げた夜、娘の笑顔、山頂で感じた風――そのすべてが、これまでの登山では得られなかった新しい感覚をもたらしてくれた。

次にどの山に登るかはまだ決めていないが、またいつか娘と一緒に山の旅を楽しみたいと思う。そして今回のように、共有する時間を大切にしながら、誰と行く山でも新たな感動を見つけたい。そんなことを教えてくれた、2024年夏の乗鞍岳登山だった。

雨のち星降る[乗鞍岳] / ふみさんの乗鞍岳大黒岳(岐阜県)朝日岳(長野県松本市)の活動データ | YAMAP / ヤマップ

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