僕の初めての高山挑戦 ― 白山へ

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2022年7月11日。山の神様に呼ばれるように、僕は白山へと向かっていた。きっかけは数年前のコロナ禍。世界が「静かにしていろ」と囁く中で、僕も家に籠り、じっとその囁きを聞いていた。けれど、その静寂はあまりに息苦しかった。だからこそ、人と会わない場所を求めて、僕は足を向けたのだ。福井県の若狭地域に点在する里山へと。

里山の登山は、自然との秘密の会話みたいなものだった。木々の合間を歩くと、ふいにシカやサル、時にはアナグマがひょっこり顔を出して、僕を驚かせる。彼らはまるで、「ようこそ、ふみさん」と言っているかのようだった。非日常感を味わい、心がゆるりと解放されていくのを感じた。登山装備などなく、赤いリュックを背負い、運動靴で気軽に楽しんでいた。

滝は水の流れや音に癒される
木の生命力を感じる
城跡に歴史を感じる

そんなある日、職場の先輩が白山を勧めてくれた。「ふみさん、白山はすごいよ。里山とは違う、まるで別世界だ」と。2700メートルを超える白山、その響きに心がざわめいた。僕は、すぐに好日山荘に向かい、登山靴と20リットルのザックを買い求めた。そして計画を立て、朝一番の空気を吸い込みながら、僕は白山の登山口に立った。

歩き始めると、どこか懐かしい緊張感が足元に伝わってくる。標高1000メートルあたりで振り返ると、雲海が静かに広がっていた。まるで雲が地上のすべてを包み込み、「君は今、雲の上にいるんだよ」と教えてくれるかのようだった。先輩の言葉通り、白山の世界は僕が知っている里山とは違っていた。

雲海に感動する
海に島が浮かんでいるかのよう

やがて、花々が僕を迎えてくれる場所、室堂にたどり着いた。クロユリがそこかしこに咲き誇り、花の香りが風に乗って流れてきた。雲海の上、百花繚乱。まるで天国への入り口に立っているような感覚だった。こんなにも美しい景色があるなんて、今までなぜ知らなかったのだろうと不思議に思うほどだった。

クロユリ
ニッコウキスゲ
咲き乱れるお花

『日本百名山』を書いた深田久弥氏は、白山で山岳開眼をしたと言っていたが、その意味が僕にも少しだけわかった気がした。僕もこの日、白山で「山岳開眼」したのだ。非日常を超えた、心の奥底から湧き上がる感動。その瞬間、登山は単なる「趣味」を超え、僕にとって大切な何かになった。

美しい景色に見惚れた
コバルトブルーの池は神秘的だった

その日、里山で鍛えた足は白山日帰りを軽々とクリアした。走ることを日課にしていたことも、ここで役立ったのかもしれない。そして、僕はさらに高みを目指す決意を固めた。日帰りで登れる高山に挑戦してみよう――その心の声が、どこからともなく僕を次の山へと誘っていた。

白山(御前峰)・大汝峰 / ふみさんの白山の活動データ | YAMAP / ヤマップ

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