黒部五郎岳への挑戦 日帰りソロの軌跡

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登山日:2024年10月25日

黒部五郎岳。それは僕にとって「いつか」挑戦してみたい山だった。その姿を間近に見ることがなくても、そこにたどり着けたなら、何かが変わる気がしていた。僕はこれまで槍ヶ岳や剱岳への日帰りを達成してきた。だが、黒部五郎岳は、これらの山々とは異なる壁のように立ちはだかっていた。

仕事が終わり、車に乗り込んで富山を目指した。3時間の道中、どこか清々しい期待感と、少しばかりの不安が僕を支配していた。スパ・アルプスで一息つき、サウナで体を温め、リクライニングチェアで軽く眠る。4時20分、夜が少しずつ薄明るくなり始める頃、僕は再び車を走らせ、林道のゲートへと向かった。

ゲートに着いたのは5時。周りには誰もいない。いつもならこの時間、登山者で賑わっているはずだが、3連休明けはどうやら特別のようだ。6時の開門を待ち、車は7台だけ。ガラガラの駐車場に車を停め、準備を整えて出発した。

登り始めは順調だった。太郎小屋を越えたあたりまで、天気は僕を歓迎してくれているようだった。ペースも悪くない。しかし、山というものは気まぐれだ。北ノ俣岳に差し掛かった頃、空気が一変した。辺りはガスで覆われ、風が強く吹きつけてくる。黒部五郎岳のピークに着いた時には、すでに眺望は霧の中に消え失せていた。目の前に広がるはずの景色は何も見えず、あるのは足元の岩がゴロゴロと転がる山肌だけ。黒部五郎という名の由来だけが、ここに確かに存在している。

黒部五郎岳のピーク
周囲はガスで景色は見えず

強風の中、僕は自分が無力な一個の登山者に過ぎないことを実感した。「帰れるのか?」という不安が頭をよぎる。こうした瞬間が、山の厳しさを僕に教えてくれる。右膝にも痛みが出始め、少しずつ心の隅に焦りが募っていく。しかし、それでも一歩一歩進み続けることで、少しずつ「ここまで来たんだ」という安堵が心に広がる。

そして何とか、山を下り切った。10時間をかけたこの道のりに、確かに僕は試されたのだと思う。山の中で感じた不安、強風に逆らって進んだ時のあの感覚。今回は景色が得られたわけではなかったが、山は僕に別の贈り物をくれた。それは、人生で初めてオコジョと出会えたという記憶だ。小さな体でこちらを見つめる彼に出会った瞬間、心の奥で何かが解けるような気がした。ライチョウたちも迎えてくれて、山の神々がそっと背中を押してくれたような気がする。

足元にオコジョが来たよ
ライチョウがたくさん迎えてくれた
1day黒部ゴーロ[折立ピストン] / ふみさんの北ノ俣岳(上ノ岳)赤木岳太郎山(富山県)の活動データ | YAMAP / ヤマップ

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