2024年7月7日、僕は二度目の槍ヶ岳に挑戦するため、新穂高へ向かった。前回の経験から、今回はちょっとした「チャンス」を見出していた。長期間のメンテナンスでロープウェイが休止中。つまり、駐車場はガラガラだろう。ふと閃いた計画が、心を踊らせた。
土曜の夜、仕事を終えてから車に乗り込み、静かに新穂高へと向かった。深夜3時、予想通り駐車場はほぼ空き状態だ。いつもは満車に埋め尽くされるはずの場所に、しんとした空気が流れていた。4時、まだ薄暗い山道に足を踏み入れ、再び槍ヶ岳との対話を始めた。

前回と同じ道のはずだが、不思議なことに、すべてが少し違って見える。川沿いにかかっているはずの木の橋がない。7月11日から槍平小屋が営業するのに合わせて、橋を設置する準備が進められていたようだ。行きでは橋がない川を見つめながら、飛び越えられそうな場所を探して、慎重に飛んだ。着地でバランスを崩したが、僕は深い息をついて笑った。こんな小さな出来事でさえ、前回にはない経験として心に刻まれる。


登山者は少なく、千丈乗越から槍ヶ岳のピークに向かう間、強風が頬を叩いた。風は冷たく、遠くの景色を揺らす。人が少ないことの静けさに包まれながら、槍の穂先を目指した。登山の途中には、はじめて槍ヶ岳を訪れた時の記憶が蘇った。あの時の膝の痛みや、どっと押し寄せた疲労感。しかし、今回はどうだろう。足取りは驚くほど軽やかで、痛みも少ない。この二年間で、僕は確かに登山の技術と体力を手にしていた。
今回はヘルメットをしっかり持ってきた。初めて槍ヶ岳に登った後、さらに色々な山に挑戦したくなって購入したものだ。穂先に近づくにつれ、そのヘルメットを装着し、頭の中も気持ちを引き締めた。前回と同じはずの風景が、一層澄んで広がっている気がした。穂先に立ったとき、そこには僕以外に数人の登山者がいたが、やがて彼らが去っていくと、穂先を独り占めできる時間が訪れた。空は晴れわたり、山々が青のグラデーションに染まっていた。


「ここにまた戻ってきたんだ」と、静かに言葉を漏らした。初めての挑戦の時とは違う穏やかな達成感、心の底から湧き出る充実感。それが、僕の全身を温かく包んでいった。これまでいくつもの山に登ってきたが、やはりこの場所の特別な何かが、僕を強く惹きつけてやまない。
帰り道、滝谷の川にかかる木の橋が設置されているのに気づいた。誰かが僕たち登山者のために設置してくれたその橋を渡りながら、僕は山の中で支えられていることを改めて感じた。自分ひとりの力で登っているように見えて、実は多くの人々の努力によって僕たちの安全が守られている。心の中で、感謝の言葉が幾度も繰り返された。


山はいつも新しい何かを教えてくれる。そしてまた、この槍ヶ岳も、僕の知らなかった感情や気づきに満ちていた。足取りは軽く、膝の痛みもほとんど感じない。僕は静かに微笑んで、新穂高の駐車場へと戻った。
1day槍きった[新穂高から槍ヶ岳ピストン] / ふみさんの槍ヶ岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ

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