日本アルプスの美しさを世界に伝えた男、その生き方に憧れて
「日本アルプス」という言葉が世界に広まった背景には、一人のイギリス人宣教師の存在がある。
その名は、ウォルター・ウェストン(Walter Weston)。
彼がいなければ、僕たちは今、あの雄大な北アルプスの稜線を「日本アルプス」と呼び、自由に楽しむこともなかったかもしれない。
ウェストンは1861年、イギリスに生まれ、1888年に英国国教会の宣教師として来日した。
しかし彼は、ただ布教活動にとどまらなかった。宣教の合間に、当時ほとんど誰も足を踏み入れたことがなかった日本の山々へと挑み、その記録を残し、世界に伝えたのだ。
彼が実際に登った山々は、日本の登山史に残る名峰ばかりだ。
槍ヶ岳、穂高岳、立山、鹿島槍ヶ岳、白馬岳、薬師岳、笠ヶ岳、木曽駒ヶ岳、御嶽山、八ヶ岳――これらの山に、今も僕たちは憧れを抱き、歩き続けている。
ウェストンは、ただ「登る」のではなく、日本の山岳信仰や自然観、文化を深く理解し、心から敬意を払った。
彼の著書『日本アルプスの登山と探検』は、単なる登山記ではなく、日本文化への愛があふれる探求の記録だった。
なぜ、そんな危険を冒してまで山に挑んだのか。
彼の人生が教えてくれるのは、「未知を知ろうとすることの大切さ」だと思う。
未知の場所へ一歩踏み出す勇気。
知らないものに出会い、驚き、学び、心を動かす体験。
それを自分だけのものにせず、世界に向けて共有しようとした情熱。
そんな生き方が、今の僕たちの登山体験を豊かにしてくれている。
僕は、そんなウェストンの生き方に憧れる。
与えられた使命を超えて、自分の心が動くものに飛び込み、誰も見たことのない景色を探しに行く。
そしてその体験を誰かに伝え、未来につなげていく。
そんな人生を送りたいと、心から思う。
あの稜線に立つとき、ウェストンの存在を思い出してほしい。
槍ヶ岳の鋭い穂先、穂高岳の切り立った岩稜、鹿島槍から見た八峰キレットの荒々しさ。
その美しい景色は、ウェストンが命を懸けて「ここに、こんな山がある」と世界に伝えてくれたからこそ、今、僕たちが見ることができるものだ。
だから、感謝せずにはいられない。
そして、憧れずにはいられないのだ。

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