【後編】白山へ登る理由 ― クロユリと僕の迷い【実践編】

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登山日:2025年7月14日

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計画では夜2時に起きるつもりだったが、前日の夜7時に早く寝たせいか、0時前には目が覚めてしまった。
もう一度寝たら起きれないんじゃないかという不安が勝って、そのまま0時に車を出した。
まだ真っ暗な道を走り、別当出合には3時前に到着。
駐車場でシートを倒し、仮眠を取る。
ウトウトしているうちに時間は過ぎ、4時半から歩き始めた。

2ヶ月ぶりの登山。
普段はランニングをしているが、それとこれとはやっぱり違う。
室堂ビジターセンターまでの砂防新道は心拍110〜120台をキープして登ったが、それでも思ったより身体に負荷がかかっているのを感じた。
やっぱり山は特別だ。

吊り橋の幅が思ったより狭かった
延命水はPETのキャップで一口飲んだ
木道は気持ちがよい

室堂で少し休み、御前峰へ向かう。
登り始めてすぐ、日陰の草むらにうつむくように咲くクロユリを見つけた。

クロユリ
下から覗き込みパシャリ


3年ぶりのクロユリ。
じっくり眺める。
控えめなその黒い花は、一途な愛にも見えるし、呪いをかけているようにも見える。
なるほどな。
結局は自分がどう解釈するか。それが全てなんだろう。
欠点だって、別の場面では武器になることがある。
クロユリをどう見るかの答えは、自分の中にしかないのだと思った。

8時半ごろ御前峰に到着。
撤退ラインとして決めていた11時にはまだかなり余裕があった。
強い風が吹き、寒さにアウターを着込む。
達成感に包まれながら、やっぱりくくり姫のことを思い出した。
「今の迷いが静まりますように」と心の中で祈る。

山頂からは北アルプスが見えた。
娘と登った乗鞍岳や立山が遠くに見えて、少し懐かしかった。

まだ時間に余裕があるので、そのまま御池巡り、大汝峰へ向かう。
雪渓が残っていて、砂防新道で2箇所、御池巡りではさらに複数箇所、慎重に雪の上を歩いた。
チェンスパは持ってきていたが、使わずに済んだ。
大汝峰から室堂に戻る際、前回とは違うルートを歩くと、そこにもクロユリが咲いていた。
やっぱり嬉しくて、また少し立ち止まって眺めた。

雪解けとともに池になる
翠ヶ池の水は多い。雪のアイランドがあった
赤いハイマツの実

室堂に戻ると売店のカップヌードルがやたら食べたくなった。
注文すると、賞味期限が1年過ぎているやつは100円だと言われ、それを選んだ。
お湯代を合わせて200円。
少しだけまろやかに感じたのは、賞味期限切れだからか、ただの思い込みか。
でも体が温まり、やけに美味しく感じた。

11時ちょうどになったので、白山比咩神社の祈祷殿でお参りをした。
家族の幸せと、自分の進む道への迷いが少しでも静まるように願った。

パワー回復
お参り
ニッコウキスゲ

下山は観光新道を選んだ。
3年前も7月に登り、この道を下ったとき、ニッコウキスゲが咲き乱れていて「百花繚乱」という言葉が頭をよぎったのを思い出した。
今回もしばらく下ると、ニッコウキスゲが群れをなして咲いていた。
迎えられたような気がして、「ただいま」と心の中でつぶやいた。
よく見ると少し萎れかけていて、「待ちくたびれたよ」と言われているようにも思えた。

観光新道は下りが思った以上にきつかった。
砂防新道の方が断然歩きやすい。
風も強くなってきて、早く下りたいなと思いながら慎重に歩いた。

今回試したスポルティバ アカシャ2は軽くて快適だったが、やっぱりザレた石の上では登山靴ほど止まらない。
観光新道の下りで4回ほど足首を軽くグネった。
ハイカットだったら防げたかもしれないが、結局はまだ自分の足が出来ていないんだろう。
日帰りロングはアカシャ、1泊以上やガレ場はハイカットと使い分けようと思った。

別当出合が見えたときはホッとした。
自販機でファンタグレープを買い、一気に飲む。
甘くて冷たくて、最高だった。

車に戻ってもまだ安心はできないが、休みながらハンドルを握る。
今日こうして無事に戻れたのも、くくり姫のご加護のおかげだと思いたい。
また迷うことがあっても、それでも良き日々を過ごしていけますように。
そんなふうに思いながら、アクセルをゆっくり踏んだ。

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