登山の登り始めが楽になるコツ|体が慣れるまでの時間と対策

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登山を始めたばかりのタイミングが一番きついと感じることはないだろうか。足が重く、息が上がり、「今日は調子が悪いのではないか」と不安になる。しかし、不思議なことに、しばらく歩き続けると体が馴染み、楽に登れるようになってくる。この現象には明確な理由があり、適切な対策をとることで登り始めのしんどさを軽減することが可能だ。

本記事では、登山の登り始めがしんどくなる原因と、体が慣れるまでの時間、さらに楽にするための具体的な方法を解説する。


登山の登り始めがしんどい理由

1. エネルギー供給システムの切り替え

登山のような運動を始めると、体内のエネルギー供給システムが変化する。普段、体は主に有酸素代謝(酸素を使ったエネルギー供給)で活動しているが、登山のように急に負荷がかかると、酸素の供給が間に合わず、一時的に無酸素代謝(解糖系)が優位になる。

無酸素代謝では、グルコース(ブドウ糖)を分解して素早くエネルギーを生み出すが、この過程で乳酸が発生し、筋肉が重く感じる原因となる。しかし、心肺機能が活性化し、酸素供給が追いつくと、有酸素代謝が優位になり、乳酸の蓄積も減少する。これが、登り始めの苦しさが徐々に和らぐ理由のひとつである。

グルコースとは?

グルコース(ブドウ糖)は、体の主要なエネルギー源であり、血液中を流れて筋肉や脳に供給される。炭水化物を摂取すると、消化・吸収の過程でグルコースに分解され、血液を通じて各細胞へ運ばれる。

エネルギーを作り出す際、グルコースは2つの代謝経路を通じてATP(細胞のエネルギー通貨)を生産する。

  1. 無酸素代謝(解糖系)
    • 酸素を使わずに素早くエネルギーを供給するが、乳酸が蓄積するため長時間は続けられない。
    • 登山開始直後のように、酸素供給が追いつかない場面で働く。
  2. 有酸素代謝(クエン酸回路・電子伝達系)
    • 酸素を利用してグルコースを効率的にエネルギーへ変換する。
    • 持続的な運動に適しており、登山中盤以降はこのシステムがメインになる。

登山では、グルコースが素早く使われるため、長時間の行動には適切な補給が重要となる。例えば、行動食として糖質を含むエネルギーバーやジェルを摂取することで、血糖値を維持し、バテを防ぐことができる。

2. 心肺機能の適応に時間がかかる

運動開始直後、心臓と肺は急に増えた酸素の需要に対応しようとする。しかし、すぐには最適な心拍数や呼吸数にはならず、自律神経が血流や酸素供給を調整するまでに時間がかかる

一般的に、運動開始から15〜30分で心拍数と呼吸が安定し、筋肉への酸素供給がスムーズになる。これにより、最初の息苦しさが解消され、体が登山に適応していく。

3. 筋肉の温度が低い

運動を始めたばかりの筋肉は、まだ十分に温まっていない。筋肉の温度が低いと、血流が少なく、柔軟性や神経の伝達速度が低下しているため、動きが鈍くなる。

しかし、登り続けることで体温が上がり、筋肉の伸縮性や神経伝達が向上する。これにより、スムーズに動けるようになり、登山のペースが安定してくる。

4. 自律神経の切り替えが必要

特に朝の登山では、体がまだ副交感神経優位の状態にあり、リラックスモードになっている。急に運動を始めてもエンジンがかかりにくく、体が思うように動かないと感じるのはこのためだ。

運動を続けることで交感神経が優位になり、心拍数や血圧が適切に上昇し、パフォーマンスが向上する。この切り替えには20〜30分程度かかるため、登り始めはどうしてもしんどく感じる


登り始めを楽にする3つの対策

1. ウォームアップを取り入れる

登山前に軽いストレッチやウォーキングを行い、心拍数を少し上げておくことで、エネルギー供給システムや心肺機能の適応時間を短縮できる。特にゆるやかな坂を歩くなどの軽い運動を5〜10分行うと、登り始めの負担が軽減される

2. 最初のペースを抑える

登山開始直後にペースを上げすぎると、心肺機能の適応が間に合わず、無酸素代謝が強く働いてしまう。意識的にゆっくり歩き、呼吸を整えながら登ることで、体への負担を減らすことができる

3. 深い呼吸を意識する

登り始めに呼吸が浅くなりがちだが、意識的に深く息を吸い込むことで、酸素の供給を効率的に行える。特に鼻呼吸を意識することで、空気を温め、乾燥を防ぎながら効率的に酸素を取り込める


まとめ

登山の登り始めがしんどいのは、エネルギー供給の切り替え、心肺機能の適応、筋肉の温度上昇、自律神経の切り替えといった生理的な要因によるものだ。しかし、適切なウォームアップ、ペース調整、呼吸の工夫によって、このしんどさを和らげることができる。

登り始めがつらいと感じても、それは体が順応するためのプロセスだと理解すれば、気持ちも楽になる。焦らず、ゆっくり体を馴染ませながら登ることで、より快適な登山を楽しむことができるだろう。

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